誰のせいでもない、という悟り/映画レビュー;海街diary
気になっていた映画「海街dairy」を観たのでレビューしたいと思います。
相田みつを的な映画
父親が不倫のため離婚し家出、母親はその状況に耐えきれず家出、家に残された3姉妹と祖母(祖父はわかりませんでした)、そして祖母も亡くなる、という壮絶な家族の形であったためか、長女 幸(長澤まさみ)の思想が凄すぎる。
「誰のせいでもない」
人を好きになる、嫌いになる、死ぬ、生きる、守る、逃げる…
人生においては様々な感情や決断があり、そこには誰かしらの想いが影響しているのでしょうが、どんなことも「誰のせいでもない」と彼女は言っている。
不倫して出て行ったどうしようもない父親も、良い人だったのかもしれない、と呟き、
父親がいなくなって出て行った母親に恨みを持ちながら、疎遠になり会っていなかった祖母の梅酒を渡し、札幌にも行くと言い、母を見送る。
そんな家庭環境にありながら、病気といえども妻を持つ医師と恋愛関係にある。
そんな人の気持ちや置かれる立場は、仕方なく生まてしまうものであって、起こってしまえば誰のせいでもない、そして自分のせいでもない。
だから苦しむ必要はないのだ、と。
もはや悟りの境地。
たわいない会話とか仕草で、女性たちの何気ない日常を切り取っているような、ほのぼの感を出していますが、
いやいや、話のベースが壮絶であって、起こる事件もかなりインパクトあることなのです。
でも、「誰のせいでもない」の包容力で中和されているのだと感じました。
個人的には、三女 千佳(夏帆)の感じが、等身大で無邪気で良かった。お団子ヘアーで、ヒラリヒラリとした立ち回りや顔の表情が、浅野いにお氏のマンガのキャラのようで好きでした。